tkchy blog

大手メーカー系JTCのプロダクトマネージャー。日々の仕事や自己研鑽で学んだことや、シンプルライフの実践などを記録していきます。

MVPの失敗談 ~要件定義編~

はじめに

大手メーカーJTCでプロダクトマネージャーのtkchyです。

最近、要件定義で初歩的なことでやらかしてしまったので、反省の意味を込めて本記事を書くことにしました。

やらかしてしまった原因や改めて学んだことを書いてみたいと思います。

どういう文脈か

  • 現在、エンドユーザー向けに2つのプロダクトを提供しています。
  • これまでは、各プロダクトの提供価値の領域が異なり棲み分けが明確だったんですが、双方のプロダクト(対象とする課題仮説の範囲)が大きくなるにつれ、各プロダクトが対象とする課題仮説の範囲も徐々に近づきつつある状況でした。
  • そこで、ビジョンに向けたプロダクト戦略として、この2つのプロダクトを連携することで新たなユーザー価値や事業収益を創出することが、最優先の取組み事項となり、昨年末から要件定義を開始することになりました。

で、改めて学んだこと

① WhyがWhatやHowの意思決定の軸になること

  • プロダクト戦略に沿った活動であったこともあり、プロダクトの連携によって創出される価値、いわゆるWhyの部分は既にチーム内で共通認識がなんとなくは図れていると思い、Whyはほとんど言語化せずに、何を作るか?どう作るか?のWhatとHowからいきなり検討を開始しました。
    • もちろん、Whyの言語化の必要性は理解しており、並行しながら言語化していこうと思っていました。
  • しかし、ユースケース図を作成しながら、何を作るか?のWhatの幅が固まりつつある状況で、WhatとHowの深さ方向(機能の実現度合い)を決めていく段階の意思決定で壁にぶつかりました。というか、Whyの軸がないと、どの深さで作るかの判断は不可能であることに気づきました。
  • そもそも何を達成するためか?、どの仮説を検証するために作るのか?といったWhyの軸がない限り、下図のピラミッドで表現されるMVP(Minimum Viable Product)を決める上での頂点にある”価値がある”の軸が存在しないことになります。
    • 従い、”価値がある”の軸がなければ、ソリューションをどの広さで、どの深さで作るか、を決めることはできないはずです。
    • 本来、”価値がある”を実現するために、どこまで”機能的である”必要があるかを決めるべきであり、これはピラミッドの”価値がある”より下にあるレイヤーはすべてそれが該当すると改めて理解することができました。

② WhatとHowの深さ方向は”二項対立”ではなく”二項動態”であること

  • 例えば、「速く移動できる」というユーザーストーリーのHowの深さ方向として「スケボー」や「自転車」、「車」と複数の機能の実現度合いがあると思います。
    • それらは二項対立な関係性ではなく、「スケボー」の延長線上として、より速く移動することができる「自転車」があり、さらに速く移動することができる「車」がある、という二項動態な関係性であると思います。
    • アジャイル開発の本質は、まずは「スケボー」を作り、ユーザーに使ってもらいながら、単純により速くすることが必要だと判断できれば「自転車」や「車」を作っていく。また、より速くすることではなく、より大人数が移動できるようにすることが作っていく過程で必要だと分かれば、車ではなくトラックを最終的に作っていく流れになるかと思います。
  • で、今回の反省点としては、「スケボー」と「自転車」を二項対立なものとしてユーザー価値(主にユーザービリティ)と開発工数や拡張性の観点からProsConsの比較評価を行い、相対的に判断をしようとしてしまったことです。
    • 「より速く」なのか、「より大人数」なのかの”価値がある”の軸が明確でなかったことも、そのような検討の進め方をしてしまった原因の一つだと思っています。
  • ”価値がある”を実現するためにどこまで”機能的である”必要があるか、Whyに対してWhatやHowの深さ方向は二項動態な関係性であることを改めて認識することができました。
    • というか、二項対立な関係性なものって突き詰めていくと、実は全て二項動態な関係だったりするのかなと思ったりしました。

終わりに

プロダクトマネジメントの基本中の基本的なことをただ単に怠り、やらかしてしまっただけなので、自戒の念をこめて反省点をアウトプットしただけの内容になっていますが、何事も理論より実践の方がレベチで難しいなぁと本記事を書いてみて改めて感じました。

プロダクトマネージャーだけに限らないとは思いますが、覚えた理論をどれだけ実践したかがプロダクトマネージャーとして成長する人としない人の差になってくると思うので、とりあえずやってみるという精神で、どんどん実践していきたいなと思います。