tkchy blog

大手メーカー系JTCのプロダクトマネージャー。日々の仕事や自己研鑽で学んだことや、シンプルライフの実践などを記録していきます。

いい感じの目標設定ってなんだろう ~精神的対照と実行意図 ~

はじめに

メーカー系JTCでプロダクトマネージャーをしているtkchyです。

IPAの春季試験が一週間後と迫っている状況下で、子供の昼寝時間に重い腰を上げ、試験対策の勉強をしようとPCを開いたんですが、何故かこの記事を書き始めてました、、(笑)

で、今回は、目標設定の時期ということもあり、目標設定に関して最近学んだことや、個人的に思っていることをアウトプットしてみようと思います。

なお、以下の本から多くを引用しています。特に、「実行意図をともなう精神的対照(MCII)」あたり。

www.kinokuniya.co.jp

「目標設定における3つの戦略」とは

人が目標を設定するときに用いるとされる戦略は3つあり、うち2つはうまくいかないと言われています。

1つ目:「空想」

  • オプティミストは「空想」を好むという。
  • 到達したい未来を想像して、それに伴って起こるはずのあらゆる良いことをまざまざと思い描く戦略。
    • 例えば、賞賛や自己の満足、将来の成功など。
  • そうすることで、ドーパミン分泌の引き金となり、ポジティブな気持ちで目標に集中して取り組むことができるという。
  • が、もちろん、これだけでは実際の達成には繋がらないという。

2つ目:「思案」

  • ペシミストは「思案」を用いることが多いという。
  • ゴールに到達するまでの障害となりそうな事柄をすべて考える戦略。
  • 物事に集中できなくなり、目標に対して気を散らしてばかりとなり、実際の達成には繋がらないという。

3つ目:「精神的対照」

  • 「空想」と「思案」を組み合わせたもので、気持ちはポジティブな結果に集中しながら、途中の障害についても考える戦略。
    • この両方を行うことで、未来と現実に強い繋がりができ、望ましい未来に到達するために乗り越えるべき障害が浮かび上がってくるという。
  • 当たり前ですが、目標達成にはこの両方が必要不可欠とされるようです。
    • 確かに、「空想」といった楽観的な考えだけでは、物事の細かいことに気づけず、逆に、「思案」といった悲観的な考えでは、「あ~でもない、こ~でもない」とネガティブなことばかりを考えてしまい、物事が前に進まなくなることが多くあると思います。
    • 要は、この「空想」と「思案」の両方のバランスが重要で、ポジティブに物事をとらえ、ネガティブな要因を確認しながら、アジリティに改善していくといったことが成功するために必要となります。
  • で、成功する人は次で紹介する「実行意図をともなう精神的対照(MCII)」という手法をうまくとらえて、目標を設定し、実行につなげているようです。

「実行意図をともなう精神的対照(MCII)」とは

  • ニューヨーク大学の心理学者ガブリエル・エッティンゲンという方が主に研究されているもので、3つ目:「精神的対照」の次のステップとして”実行意図”まで作り出す手法です。
  • 具体的には、ある計画について「もし/ならば」という問答のかたちで障害とそれを克服する方法を考えることを言います。
    • 「もし〇〇な状況になったら、〇〇をする」、「Aの状況になったらBをする」と事前にルールを考えることで、習慣づくりのテクニックであるIf-thenプランニングと同様だと思います。
  • つまり、目指す場所に辿り着くための道に現にある障害のことを考えた上で、”実行意図”まで作り出すことで、目標達成に向けた自分のためのルールをつくることができ、成功率を高めることができる手法とされています。
    • 障害を想定してif-thenルールを立てると、決意を守り通せる可能性が高まることを意味していると思います。

ルール(実行意図)が機能する理由とは

  • 神経生物学上の理由があり、ルールを作ると、前頭前皮質を味方につけることができるという。
    • つまり、本能に突き動かされて反射的に働く脳の部位、要は怠惰な自分に対抗できるようになるようです。
    • なお、ルールは、意思力と同じではなく、メタ認知を利用した意思力の代用品である。欲求とその欲求に抵抗する堅い決意との間に起こる葛藤を回避できるようになるという。
  • ルールとは、構造であり、魅力的な刺激との対決に向けた準備となるもの、私たちの関心を他へ逸らすものである。そして、やがて欲求と同じくらい反射的に働くようになるらしいです。

で、個人的に思っていることを言語化

「空想」ドリブンで「思案」で目標のスコープを決めることが大切そう

  • 「空想」と「思案」の両方のバランスを図ることが大切とありましたが、特に目標設定時では「空想」から思考を開始させることが大切だと思っています。
  • 理由としては、
    • 「空想」から考えることで、究極的にありたい姿、いわゆるビジョンに近しいことを考えれるようになり、より視座が高く、より全体最適に繋がり、よりポジティブな感情を持てるようになると思います。
    • 一方で、最初から「思案」で考えてしまうと、現在地を基準に考えるようになり、結果的に可能性を制限してしまい、立てた目標は現実的で無難なものになりがちになる気がします。
  • 従い、目標設定時は、「空想」で究極的にありたい姿とは?、究極な成功とは?の解像度を上げ、「思案」で現実を直視しながら、究極的にありたい姿を見据えてどこまで近づけそうか等、目標のスコープを見極めていくやり方が個人的に良いと思ったりしています。

とはいえ、一番大切なの”環境”よりも”感情”のはず

  • 設定した目標の成功率を高めるための「実行意図をともなう精神的対照(MCII)」を紹介しましたが、とはいえ、目標を達成するために一番大事なのは、目標達成に向けた”気持ちの強さや熱意”という感情の部分だと思っています。
    • 上記の「空想」ドリブンにも繋がりますが、いかに「空想」の思考でポジティブな感情を抱くことができるかが重要だと感じることが多く、特にチーム活動の場合は、個人一人だけ感情を抱いていても意味がないので、いかに他のチームメンバにもワクドキをさせ内発的なモチベーションを生じさせるかがキーになってくると思います。
    • モンキー・D・ルフィーの「なりたいからなるんだ! 海賊王になるって俺が決めたんだからそのために戦って死ぬんなら別にいい!できるかどうかでなく、なりたいからなる。」と同じな気がします。
  • “感情”は推進力となる一方で、ポジティブな気持ちを常に維持することはできないので、そこで肝要なのが”環境”であり、怠惰な自分と葛藤をさせないような仕組みづくりをできるかが重要とある。で、その一つの手法として、「実行意図(ルール)」づくりという位置付けだと理解したりしました。

終わりに

前に読んだ以下の本にも目標設定に関して近しいことが書いてありました。

「お金」に最適化することは間違いであり、自分の興味に最適化する。つまり、自分にとって面白そうかどうかが一番大切。これは、現状の犠牲者にならないことを大前程とする。

文脈が違えど、良い目標かどうかの一番の判断軸は、その目標が面白そうかどうか、ワクドキするかどうか、なのかもしれないなと思っています。

www.kinokuniya.co.jp

そして、本記事で紹介した”実行意図”をセットで作り出すことで、人間の怠惰に負けないように手を打つことができるのかな、と。

最後まで読んでいただき有難うございました。